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円高の要因/円キャリートレードの巻き返しとは

 円キャリートレードの巻き返しとは、低金利の円で投資資金を調達し、それを高金利の外貨に換えて高い収益が期待できるものに投資するいわゆる円キャリートレードが、その前提条件が崩れることにより、市場に積み上げられてきた円売りポジションが一斉に解消される事態をいいます。
円キャリートレードの巻き返しの最近の例としては、1998年後半に発生した巻き返しが記憶に新しいです。

 当時のドル/円相場は、円キャリートレードが活発に行われ、1998年8月には147円64銭という円安値を記録しました。

 しかし、1998年9月には、円キャリートレードを利用してエマージング・マーケット(新興国市場)に巨額投資を行っていた大手ヘッジファンドが破綻し、それをきっかけにして他のヘッジファンドらも一斉に円キャリートレードの解消(ドル売り・円買い)に動き始めたため、ドル/円は10月初旬に111円台にまで急落する展開となりました。

 市場に積み上げられてきたポジションが一斉に解消される事態となった場合には、為替相場がファンダメンタルズとは関係なく、急激な変動に見舞われることになるので注意が必要です。

 2006年3月には高金利通貨として人気があったNZドルや豪ドルの下落が顕著になりました。

 その背景には、日銀が量的緩和政策の解除を発表した後、日本の金利上昇観測が強まり、ヘッジファンドらが円キャリートレードのポジションを縮小させていることが挙げられます。

 円金利が上昇していくことになれば、投資資金の調達コストが上昇してしまうだけではなく、為替相場も金利先高観を材料にして円高に振れていくリスクが高くなるからです。

 また、NZドルや豪ドルが下落した背景には、両国の景気の先行きに対する楽観的な見方が後退しているということも影響しています。

 2005年12月には、NZドル円が87円台、豪ドル円が91円台にまで上昇していましたが、2006年3月末には、それぞれ70円台、82円台まで値を下げました。

 NZドル/円、豪ドル/円とも、昨年12月までに積み上げられてきた円キャリートレードの解消が進んだと言えます。
 
 市場には、円キャリートレードの本格的な巻き戻しは未だ起きていないとの観測がありますが、日本の低金利状態が相当長期間に亘って続いてきたことや、その間にNZドルや豪ドルなどの高金利通貨に対する投資が大幅に増加してきたことからすれば、円キャリートレードの解消が更に進む余地は大きいと言えるでしょう。

 今後の為替展開を考えていく上でも、円キャリートレードに関わる動きには注目していく必要がありそうです。